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【炎上中】ムーニーとパンパースのCM内容、どちらに共感しますか?

投稿日:2017年5月18日 更新日:

日本の孤独育児を美化するムーニーのCM

ムーニーのCMが話題になっているので、どんな内容か見てみてビックリしました。

日本の孤独育児の現実が見事に描かれていて、さらにその問題が何一つ解決されないままストーリーが美化されているのです。

まさに母親一人に育児の責任を押し付ける日本の育児環境が描かれています。

CMの中では、父親やその他の家族はほぼ登場せず、ママが一人きりで苦痛の表情を浮かべながら育児をしています。

お風呂に入る時間もご飯を食べる時間もままならず、わからないことだらけの「初めての育児」にママが疲弊していく状況でも、昼も夜も、誰も助けてくれる人が現れません。

子供は可愛い。でも、育児は大変。
睡眠不足と過労が続くと、精神的にも余裕がなくなります。

育児が辛い。苦しい。疲れた。自分の時間が欲しい。
子育て中のママなら、誰もが感じたことがあるような苦しさがCMの母親の表情ににじみ出ています。

そして、最後に「その時間が、いつか宝物になる」というメッセージが流れます。
「母親なんだから辛くても頑張れ」という裏メッセージが聞こえてくるようです。

まさに日本の「ワンオペ育児」

ワンオペとは、外食チェーン店などが人手不足の時間帯に従業員を1人しか置かず、1人の従業員に全ての労働をこなさせるというワンオペレーションの略です。ワンオペーレーションは、ブラック企業の実態として2014年に社会問題となりました。

長時間休憩を取ることもできずに1人ですべての業務をこなすワンオペレーション労働が、育児や家事をすべて1人で背負っている母親の実態に似ていることから、インターネット上で「ワンオペ育児」という言葉が生まれたのです。

ワンオペ育児という言葉がインターネット上で議論されるようになったことにより、母親の孤独育児が注目されつつあります。議論されることは現状の解決に向けての前進なので嬉しいですが、このCMの内容は、まるでワンオペ育児推進キャンペーンです。

産後うつになり、死のうとした経験があります

私は24歳で第一子の息子を出産しました。実家は遠く、結婚してから新しく移り住んだ土地で友達もいない、全く思う通りにいかない初めての育児。さらに息子は、酷いアトピー性皮膚炎があり、四六時中、体を搔きむしり続けました。

生まれつき片目が見えていない不同視弱視という障害があることもわかりました。

母乳以外は飲んでくれず、昼も夜も関係なく1~2時間おきにおっぱいを欲しがり、卒乳した1歳7ヶ月まで3時間以上ぐっすりと寝たことはなかったです。

旦那は仕事が多忙で帰ってきません。そのうえ、私が出産して母親になってからは、旦那から女性として見られなくなりました。まったく愛情を感じず、旦那と連絡さえほとんど取れない日々の中での孤独育児は私を追い詰めていきました。

ひたすら孤独だったことが一番辛かったのを覚えています

当時の記録はブログ(出産後の育児に疲れた、消えたい、産後うつで死にたい。私は初めての出産後、死のうとした経験があります。)に書いています。もしよかったら読んでください。

ムーニーの販売元、ユニ・チャーム広報室の担当者は、炎上している世間の反応を受けてもCMの動画を取り下げることはせず、「本来の意図はリアルな日常を描き、応援したいという思いだった」と述べています。

そうなんです。これが日本の育児の『リアルな日常』なんです。

なぜ、このCMが批判されているかって、日本の育児環境の問題点がそのまま肯定され、「子育ては母親だけが努力すればいい」というストーリーになっているからです。

ワンオペ育児を賛美しているようでは、この国の少子高齢化は深刻化する一方でしょう。

子育てに優しい社会を表わしたパンパースのCM

ムーニーの酷いCMに対して、パンパースのCMは素晴らしいです。

どこの国の街でしょうか。この街に生まれた小さな赤ちゃんを、街中の人々が歓迎し、子育てに手を差し伸べてくれます。

街中の誰もが、弱者である子供を大切に思い、ママと赤ちゃんの心に寄り添ってくれる温かさを感じます。

まさに、「子育て天国」のフィリピンのようです

CMは、赤ちゃんが泣いているシーンから始まり、ママが赤ちゃんに子守唄を歌いながら家族や街の様子が描かれていきます。これをみると、私が長年住んでいたフィリピンを思い出します。

【子守唄】

可愛い坊や、泣かないで
ママが子守唄を歌ってあげる
キミがすやすや眠るまで

パパはママの代わりに夜通し抱っこ
まだ幼いお姉ちゃんだって、お気に入りのおもちゃを譲ってあげる

キミの健康が大事だから
おじさんはもうタバコを吸わないと誓う

眠りにつくキミに絵本を読んであげるために
おばあちゃんは文字を読む練習を始めたの

キミが早く元気になるように
お医者さんは昼でも夜でも駆けつける

キミが見つめていると
いがみあうもの達だって仲直り

時間に余裕がなくたって
通りすがりの人も手助けをしてくれる

キミが落ち込んでいる時は
ビジネスマンのパパだってピエロに変身する

バスの運転手もキミのためにスピードをゆるめて

ペットはいつも側で見守ってくれる

ガードマンはキミを笑わせようとして

工事中の働く男たちも手を止める

子守唄はもうすぐ終わるけれど
キミの人生は始まったばかり

世界で一番大切なキミのためなら
いつだって、一番のことをしてあげる

たくさんの人の愛に包まれて子育てをすることの安心感、幸福感を感じます。

ちなみに炎上中のムーニーのCMでは、2010年に「トイレの神様」が大ヒットしたシンガーソングライター、植村花菜さんの歌「moms don’t cry」が流れます。

子育て中のママの応援ソングということなのですが、この歌にもママ以外の登場人物は出て来ません。

【moms don’t cry】

なかなか寝てくれない君 
ぐずる声を聞くだけで 
体がこわばる私がいる 

ずっと抱っこの君 
肩や腰が悲鳴を上げる 
私の時間は全部君の時間 

保湿もご飯も サッとしなきゃ 
君は可愛いのに 
なんだかイライラしてしまって
 
ほかのママが立派に見えて 
もっといいママでいたいのに

moms don’t cry 
ママは泣いちゃダメだって思ってた 
moms don’t cry 
ママは強くなきゃダメだって思ってた 

でも泣いて笑って一歩ずつ
君と一緒に生きていく 
泣いて笑って一歩ずつ 
君と一緒に生きていく

ママがひたすら孤独に育児をしていく辛さ、寂しさ、苦しさを感じてしまうのは私だけでしょうか。

「みんなで子供を育てる」という常識

フィリピン滞在歴が長いのでフィリピンを例にお話します。フィリピンでは「みんなで子供を育てる」という意識が強いです(その他多くの国でも同じ価値感の場合が多いと思います)。

子供が多く、親戚一同の大家族で住んでいる人が多いので、お互いに協力しあって家事や育児の責任も共有するのが当たり前なのです。

しかも、フィリピン人はみんな子供が大好き。親戚どころか、近所に住んでる人や街で偶然出会った人など、赤の他人がまるで自分のことのように積極的に手を差し伸べて育児に協力してくれます。

日本では子連れの外出はとっても大変ですが、セブではむしろ子連れの方が外出しやすく感じるほどです。電車に乗るなり「子連れは迷惑だから降りろ」と初対面のおじさんから怒鳴られるという日本の子連れ地獄を味わってきた私にとって、セブはまさに子連れ天国でした。

私の娘が深夜に熱を出して夜泣きをした時、隣の家のおばちゃんが心配して駆けつけてくれて、大泣きの娘を交代で抱っこしてくれたこともあります。

日本だったら「子供の泣き声がうるさい」って苦情が来ないか、虐待の疑いで通報されないかって心配するのが関の山です。

日本の孤独育児でノイローゼになりそうだった私にとって、フィリピン人の優しさは、心の中の氷のような古い常識を全て溶かしてしまうくらい温かく、嬉しかったです。

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近藤 英恵

親子留学・ジュニア留学専門カウンセラー。2児の母。フィリピンに4年間の教育移住をし、子供2人はモンテッソーリ教育の現地幼稚園・小学校に通学。自身はセブの語学学校で勤務した後、現地で新しい学校の設立と運営に携わる。幅広い年代・職種の日本人約3,000人の留学サポートをしてきた経験から、セブ留学の必須情報を発信しています!

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